• 2019年7月14日礼拝メッセージの概要

    ◇◆◇2019年7月14日第二主日礼拝
    ◎本日の聖書箇所【ヨハネの福音書18章15節~24節】 (新約p.199上段左端)
    18:15 シモン・ペテロともうひとりの弟子は、イエスについて行った。この弟子は大祭司の知り合いで、イエスと一緒に大祭司の中庭にはいった。
    18:16 しかし、ペテロは外で門のところに立っていた。それで、大祭司の知り合いである、もうひとりの弟子が出て来て、門番の女に話して、ペテロを連れてはいった。
    18:17 すると、門番のはしためがペテロに、「あなたもあの人の弟子ではないでしょうね。」と言った。ペテロは、「そんな者ではない。」と言った。
    18:18 寒かったので、しもべたちや役人たちは、炭火をおこし、そこに立って暖まっていた。ペテロも彼らと一緒に、立って暖まっていた。
    18:19 そこで、大祭司はイエスに、弟子たちのこと、また、教えのことについて尋問した。
    18:20 イエスは彼に答えられた。「私は世に向かって公然と話しました。私はユダヤ人がみな集まって来る会堂や宮で、いつも教えたのです。隠れて話したことは何もありません。
    18:21 なぜ、あなたは私に尋ねるのですか。私が人々に何を話したかは、私から聞いた人たちに尋ねなさい。彼らなら私が話した事がらを知っています。」
    18:22 イエスがこう言われたとき、そばに立っていた役人のひとりが、「大祭司にそのような答え方をするのか。」と言って、平手でイエスを打った。
    18:23 イエスは彼に答えられた。「もし私の言ったことが悪いなら、その悪い証拠を示しなさい。しかし、もし正しいなら、なぜ、私を打つのか。」
    18:24 アンナスはイエスを、縛ったままで大祭司カヤパのところに送った。

    ◎メッセージの概要【第一回宗教裁判】
    《イエス様を縛り上げ捕らえたローマ兵の千人隊長と一隊600人の兵士、そしてサンヘドリンから遣わされて来た役人と民の指導者たちは、イエス様を、まず始めに先の大祭司アンナスの所へ連れて行きました。もちろんその豪邸は、エルサレム市内の中にあります。おそらくアンナスの邸宅と、今現在の大祭司カヤパの邸宅とは、つながっていたと考えられます。
     この場面は、ヨハネが詳細に書き記しています。さて、大祭司の邸宅の入り口には門がありました。そして門番には、女中が立っていたとあります。ここでヨハネは、「もうひとりの弟子」と自分のことを呼んでいますが、大祭司アンナスと知り合いであったと言うのです。
     聖書学者の中には、これは間違いであると主張する者もいます。なぜなら一介のガリラヤ湖の漁師が、どうやってユダヤの最高指導者である大祭司と知り合いになれるのか、考えられないと言うわけです。今日はこのテーマについても、じっくりと考えて見たいと思います。
     マルコによりますと、
    「イエス様が、また少し行かれると、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネをご覧になった。彼らも舟の中で網を繕っていた。すぐに、イエスがお呼びになった。すると彼らは父ゼベダイを雇い人たちと一緒に舟に残して、イエスについて行った。」とあります。
     ゼベタイは雇い人たちを従えていましたから、かなり裕福であったことと思われます。伝承ではガリラヤ湖の網元と言われています。それではゼベタイと大祭司との接点は、どこにあるのでしょうか。それこそが、バプテスマのヨハネに関係があるのです。
     ルカの福音書には、ヨハネの誕生のことが詳しく書かれています。まず両親についてです。『ユダヤの王ヘロデの時に、アビヤの組の者でザカリヤという祭司がいた。彼の妻はアロンの子孫で、名をエリサベツといった。ふたりとも、神の御前に正しく、主のすべての戒めと定めを落度なく踏み行なっていた。エリサベツは不妊の女だったので、彼らには子がなく、ふたりとももう年をとっていた。』
     しかし、やがてエリサベツは身ごもることになります。その後、天使ガブリエルは、ナザレの一人の乙女の所にやって来ます。マリヤに受胎告知を告げに。
    「ご覧なさい。あなたの親類のエリサベツも、あの年になって男の子を宿しています。不妊の女といわれていた人なのに、今はもう六か月です。神にとって不可能なことは一つもありません。」
     主の母マリヤにとって、祭司ザカリヤの妻エリサベツは親戚にあたります。しかもマリヤとは親しい関係であることが分かります。
     さらにルカは、主の母マリヤとヨセフが、過越の祭りには毎年エルサレムに巡礼に上ったことを証しています。これは、相当に裕福な家庭の者だけに許されることであり、またエルサレム市内に、何時でも宿泊出来る場所を持っていたことの証拠でもあるのです。
     そしてさらに真実は、十字架の場面において明らかにされます。ヨハネによりますと、主イエス様の十字架の側には、主の母マリヤとその妹がいたことになっており、しかも彼女はゼベタイの子らの母であり、名前がサロメであったことが分かって来るのです。
     つまり、主の母マリヤがエリサベツの親戚であるならば、実の妹サロメに取っても同じであるはずです。ここにヨハネが大祭司アンナスと知り合いであることへの接点が存在します。
     おそらくザカリヤは、祭司たちから非常に尊敬され、また信頼されており、そして親類にあたるゼベタイは、エルサレム市内においても、それなりの地位を持ち、また非常に裕福であって、二人は親しい間柄となり、やがてザカリヤを通して大祭司と知り合ったのではないでしょうか。
     さて、次に「第一回宗教裁判」について考えて見ましょう。大祭司アンナスは、主イエス様に、『弟子たちのこと、また教えのことについて』尋問したと書かれています。
     実際にどんな内容の尋問を行なったことについては、詳しく書かれてはいませんが、主イエス様のお答えから、ある程度は推測することが出来ます。
     まず、「弟子たちのこと」ですが、これは人数です。当時のユダヤでは、偉いラビは、自分を慕う弟子の数によって、優劣を誇っていたからです。イエス様は、その質問には答えられません。今現在でも、私たちは、人数によって、大きな教会、普通の教会、小さな教会と、ついつい判断しているのではないでしょうか。もちろん数も重要なのですが、一番大切なことは、真に生まれ変わっている人が何人存在するのかではないでしょうか。
     そして次に「教えのこと」ですが、アンナスは婿カヤパに任せっきりであったことが分かります。また主の教えにはほとんど興味を示さなかったことが分かります。それゆえイエス様は、「私は世に向かって公然と話しました。私はユダヤ人がみな集まって来る会堂や宮で、いつも教えたのです。なぜ、あなたは私に尋ねるのですか。私が人々に何を話したかは、私から聞いた人たちに尋ねなさい。彼らなら私が話した事がらを知っています。」とお答えになられたのです。
     しかし大祭司カヤパは違います。彼は、人類最大の質問を主イエス様にするのです。
    「あなたは生ける神の御子キリストなのか。」
     この後、アンナスは縛ったままで主イエス様をカヤパのところに送ります。
     さて、ここには、シモン・ペテロにおける3回にもおよぶ「主イエス様の否定」の、一番最初の場面が描かれています。マルコの福音書は、ペテロの語った言葉が、その基盤となっていますから、非常にリアル性を帯びています。
    『ペテロが下の庭にいると、大祭司の女中のひとりが来て、ペテロが火にあたっているのを見かけ、彼をじっと見つめて、言った。「あなたも、あのナザレ人、あのイエスと一緒にいましたね。」しかし、ペテロはそれを打ち消して、「何を言っているのか、わからない。見当もつかない。」と言って、出口のほうへと出て行った。』と書かれています。
     次回は「第二回宗教裁判」について考えて見ましょう。その相手は、大祭司アンナスの婿カヤパとなります。》

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