◎本日の聖書箇所【ルカの福音書4章5節~8節】(新約聖書p.115上段右側)
4:5 すると悪魔はイエスを高いところに連れて行き、一瞬のうちに世界のすべての国々を見せて、
4:6 こう言った。「このような、国々の権力と栄光をすべてあなたにあげよう。それは私に任されていて、だれでも私が望む人にあげるのだから。
4:7 だから、もしあなたが私の前にひれ伏すなら、すべてがあなたのものとなる。」
4:8 イエスは悪魔に答えられた。「『あなたの神である主を礼拝しなさい。主にのみ仕えなさい』と書いてある。」
◎メッセージ【悪魔の試み(そのⅡ)】
《先々週に引き続き、悪魔の試みの第Ⅱ回目となります。この「荒野での悪魔の試み」の記事は、三つの共観福音書に書き記されています。マタイの平行同一記事では、Ⅱ回目とⅢ回目の試みの順序が入れ替わっています。どちらが正しいのでしょうか。私は、ルカが正しいのではないかと個人的には考えています。なぜなら、最後には、一番大きな誘惑が来るはずだからです。
尾山令仁先生は、この三つの誘惑すべてが、「十字架を回避」するという目的であったと言われています。つまり、十字架抜きで、ご自身が、メシア、すなわち救い主であることを、人々に示して見よ、と言うことです。
さて、それでは、今日の聖書箇所の本文をじっくりと見て行きます。
『すると悪魔はイエスを高い所に連れて行き、一瞬のうちに世界のすべての国々を見せて、こう言った。』
これは実際に、悪魔が主イエスを、非常に高い所へ連れて行ったのではなく、そのような幻を主イエスに見せたのだと思われます。誘惑は、常に心の中に訴えて来るものだからです。
『「このような、国々の権力と栄光をすべてあなたにあげよう。それは私に任されていて、だれでも私が望む人にあげるのだから。』
悪魔は芯からの嘘つきですが、何とここでは真実を言っています。この世界は、悪魔、すなわち「空中の支配者」の手に渡されています。最初の人アダムが罪を犯した時に、この世界における支配権は、悪魔の手に渡ったのです。
使徒パウロは、エペソ書において、
『さて、あなたがたは自分の背きと罪の中に死んでいた者であり、かつては、それらの罪の中にあってこの世の流れに従い、空中の権威を持つ支配者、すなわち、不従順の子らの中に今も働いている霊に従って歩んでいました。』と、そのことを明らかにしています。
『「だから、もしあなたが私の前にひれ伏すなら、すべてがあなたのものとなる。」』
悪魔の誘惑の申し出に対して、主イエスは、み言葉を持って答えられます。
『「『あなたの神である主を礼拝しなさい。主にのみ仕えなさい』と書いてある。」』と。
これこそが、主イエスの私たちへのご命令なのです。これこそが三位一体なる神様が、すべての人に望んでおられることなのです。主は、この言葉を申命記から引用されました。
さて、主イエスは弟子たちに「あるお金持ち」の話をされたことがあります。
『「ある金持ちの畑が豊作であった。彼は心の中で考えた。
『どうしよう。私の作物をしまっておく場所がない。』そして言った。
『こうしよう。私の倉を壊して、もっと大きいのを建て、私の穀物や財産はすべてそこにしまっておこう。そして、自分のたましいにこう言おう。「わがたましいよ、これから先何年分もいっぱい物がためられた。さあ休め。食べて、飲んで、楽しめ。」』
しかし、神は彼に言われた。
『愚か者、おまえのたましいは、今夜おまえから取り去られる。おまえが用意した物は、いったいだれのものになるのか。』
自分のために蓄えても、神に対して富まない者はこのとおりです。」(ルカ12章)』と。
これは、たとえではなく実話であって、貧乏人ラザロが、その門で物乞いをしていた家の主人、金持ちダイブスの結末であると伝えられています。この金持ちは、ありとあらゆる物を持っていました。しかし、彼は一番大切な物を持っていませんでした。それは、主イエスを信じる信仰であり、永遠のいのちなのです。私たちは、このお方を礼拝し、そして、このお方に仕えて行く者なのです。すべては恵みです。》