◎本日の聖書箇所【ルカの福音書4章9節~13節】(新約聖書p.115上段左側)
4:9 また、悪魔はイエスをエルサレムに連れて行き、神殿の屋根の端に立たせて、こう言った。「あなたが神の子なら、ここから下に身を投げなさい。
4:10 『神は、あなたのために御使いたちに命じて、あなたを守られる。
4:11 彼らは、その両手にあなたをのせ、あなたの足が石に打ち当たらないようにする』と書いてあるから。」
4:12 するとイエスは答えられた。「『あなたの神である主を試みてはならない』と言われている。」
4:13 悪魔はあらゆる試みを終えると、しばらくの間イエスから離れた。
◎メッセージ【悪魔の試み(そのⅢ)】
《今日は、荒野における悪魔の最後の試みについて共に考えてみたいと思います。
「悪魔は、イエスをエルサレムに連れて行き、神殿の屋根の端に立たせた」と言うことですが、実際に主を移動させたのではなく、その幻を見せたのだと思われます。
また神殿には屋根があったこともここから分かります。そして、神殿の屋根は、かなりの高さであったことも分かります。
この最後の誘惑も、「神の子なら、その力を使って、自分がメシアであることを人々に見せてみよ」と言うことなのです。
主は、「神の御子」であられます。よって、何時でも、神様としての権威を使うことができたのです。しかし、私たちと同じように肉体を持った「真の人」であった主イエス様は、ご自分の為には、その力と権威を用いられなかったのです。
悪魔は、何時主イエス様が「神の御子」であることを知ったのでしょうか。それは、主がバプテスマのヨハネから洗礼を授かり、聖霊が鳩のように降られ、父なる神様が「これは私の愛する子。私はこれを喜ぶ。」と語られた時なのです。
さて、悪魔は言いました。
「あなたが神の子なら、ここから下に身を投げなさい。『神は、あなたのために御使いたちに命じて、あなたを守られる。彼らは、その両手にあなたをのせ、あなたの足が石に打ち当たらないようにする』と書いてあるから。」
悪魔は、今度はみ言葉を用いて、誘惑して来ました。悪魔もみ言葉を良く知っているのです。これは詩篇91篇からの引用です。
それに対して、やはり主はみ言葉を用いて、答えられます。「『あなたの神である主を試みてはならない』と言われている。」と。これは、申命記6章からの引用です。
出エジプト記によれば、イスラエルがシンの荒野を旅立ちレフィディムにやって来た時、民には飲み水がありませんでした。民はモーセに対して不平を言ったのです。モーセは、神様の支持を仰ぎ、ホレブの岩をつえで打つと、大量の水が流れ出ました。この時、イスラエルは神様を試みたのです。
それでは、「試みる」ことと、「祈り求める」こととの違いは何なのでしょうか。それは、主語にその理由と原因があるのです。私たは、自己中心なのです。「試みる」時は、私たち自身が主語であり、主人なのです。しかし「祈り求める」と言うことは、主が私たちの主であることを知っている者に、特権として与えられているのです。よって主語は、あくまで主なのです。
主イエス様は、最後の晩餐の後に、弟子たちに約束して下さいました。
「あなたがたが私を選んだのではなく、私があなたがたを選び、あなたがたを任命しました。それは、あなたがたが行って実を結び、その実が残るようになるため、また、あなたがたが私の名によって父に求めるものをすべて、父が与えてくださるようになるためです。」
私たちは、主イエス様を信じる者であり、そのお方を「主」として、仕え従う者なのです。》