◇◆◇日々のみ言葉
2019年11月5日(火)
◎聖書箇所【使徒の働き17章19節~21節】
17:19 そこで彼らは、パウロをアレオパゴスに連れて行ってこう言った。「あなたの語っているその新しい教えがどんなものであるか、知らせていただけませんか。
17:20 私たちにとっては珍しいことを聞かせてくださるので、それがいったいどんなものか、私たちは知りたいのです。」
17:21 アテネ人も、そこに住む外国人もみな、何か耳新しいことを話したり、聞いたりすることだけで、日を過ごしていた。
◎ショートメッセージ
《使徒パウロは、シラスとテモテがアテネに到着するまで、のんびりとしてはおりませんでした。なぜなら、アテネの町は、あらゆる偶像で満ち溢れていたからです。もちろん多くの立像は、最高の芸術作品であったことも間違いありません。しかし、その根底には、真の神様よりも人間礼讃であったからです。
パウロは、ユダヤの会堂においては、同胞ユダヤ人たちと、そして改宗者たちと話し、広場においては、ギリシャ人の哲学者たちと論じ合ったのです。
パウロが話した哲学者たちは、おもにエピクロス学派とストア学派に属する者たちでした。彼らは、「このおしゃべりは、何を言うつもりなのか。」とあざけり、また他の者たちは、「彼は外国の神々を伝えているらしい。」と言ったのです。
実際に、アテネが祀って信じていたのが、ギリシャ神話の神々であったからです。よって彼らは、神は一人ではなく、複数型すなわち多くの神々が存在しているものと考えていました。
それゆえに、パウロが主イエスの御名と復活とを宣べ伝えたことから、「イエス」と言う神と、「復活」と言う神のことを話していると思っていたのです。
そこで彼らは、パウロをアレオパゴスに連れて行きました。
アレオパゴスとは、「アレス神の丘」という意味です。アテネのアクロポリスの北西にあります。高さ113メートルの裸の丘で、ここで開かれるアレオパゴスの評議会の名前を指します。
この評議会は,アテネ市の長老たちによって構成され、宗教や教育道徳の監督も担当していました。
この議会はアテネの市場(アゴラ)にあるストア・バシレイオス(王室柱廊)で開かれました。おそらくパウロがアレオパゴスに連れて行かれる前に、この広場で論じあっていたと思われます。
そして、パウロが立ったのは「アレスの丘」の真中ではなく、議会の真中だと思われます。アレオパゴスは、アテネの最も重要な制度であり、かつての古代の権力には及ぶべくもありませんでしたが、やはり偉大な名声を保持しており、道徳と宗教に関して特別の裁判権を有していたのです。したがって外国の神々の説教者がその判決に服すのは当然であったと言えます。
「あなたの語っているその新しい教えがどんなものであるか、知らせていただけませんか。私たちにとっては珍しいことを聞かせてくださるので、それがいったいどんなものか、私たちは知りたいのです。」
これは、好奇心や追求心から来ているのではなく、パウロの宣べ伝えている「イエス」と言う神と、「復活」と言う神について、審議する為でありました。
しかし、当時の彼らは、何か目新しいものを求めていたことは事実です。それだからこそルカは、「アテネ人も、そこに住む外国人もみな、何か耳新しいことを話したり、聞いたりすることだけで、日を過ごしていた。」と書き記しています。》