◎本日の聖書箇所【使徒の働き16章1節~5節】(新約聖書p.267上段右側)
16:1 それからパウロはデルベに、そしてリステラに行った。すると、そこにテモテという弟子がいた。信者であるユダヤ人女性の子で、父親はギリシア人であった。
16:2 彼は、リステラとイコニオンの兄弟たちの間で評判の良い人であった。
16:3 パウロは、このテモテを連れて行きたかった。それで、その地方にいるユダヤ人たちのために、彼に割礼を受けさせた。彼の父親がギリシア人であることを、皆が知っていたからである。
16:4 彼らは町々を巡り、エルサレムの使徒たちと長老たちが決めた規定を、守るべきものとして人々に伝えた。
16:5 こうして諸教会は信仰を強められ、人数も日ごとに増えていった。
◎メッセージ【テモテ】
《アンティオキア教会から、二つの伝道チームが派遣されました。一つは、バルナバと彼の従兄弟のヨハネ・マルコです。彼らは、故郷キプロスに向けて出発して行きました。そしてもう一つが、パウロとシラス(シルノワ)です。パウロは今回、第一次伝道旅行とは逆コースを回ることにします。まず彼らはデルベに向かいます。そして、パウロが石打ちにされた町リステラに向かいました。
ここには、第一回伝道旅行の時に、救いに導かれた婦人たちの中に、テモテの祖母ロイスと母親ユニケがいたのです。
テモテの父親はギリシャ人で、当時、ユダヤ人の女性が、当地の有力なギリシャ人と結婚することは、良くあることでした。ユダヤ人側からして見ますと、それは妥協の何ものでもありません。ここらあたりに、パウロがテモテに割礼を施した理由がうかがえます。
エルサレム教会会議において、パウロは異邦人が割礼を受けることに、真っ向から反対します。なぜなら、それは「救い」の問題に関することであったからです。「救い」は、恵みの何ものでもありません。割礼を受けることや、律法をすべて守ることが「救い」にはつながらないからです。しかし、テモテの場合には、『その地方にいるユダヤ人たちのため』に、あえて割礼を受けさせたのです。テモテは、リステラとイコニオンの主にある兄弟たちの間で、すなわち教会において評判の良い人であったと言われています。この時、彼が何歳であったかは、明確ではありませんが、20歳前半であったと考えられます。
主にある兄弟たちに評判の良いことは素晴らしいことです。かつてエルサレム教会において、ギリシャ語を話すやもめたちの面倒を見る執事が選ばれた時にも、同じように、主にある兄弟姉妹に評判の良い者たちの中から、七人が選ばれたことがありました。その筆頭の人物こそ、最初の殉教者ステパノです。
神の子どもとされた私たちも、まだ主を知らない人々の中において、常に評判の良い人になることを、心に留めておく必要があります。また、それこそが「世の光」として、「地の塩」としての役割を果たすことになるのです。
さて、パウロは、コリント人の最初の手紙に、このように証ししています。
『私はだれに対しても自由ですが、より多くの人を獲得するために、すべての人の奴隷になりました。ユダヤ人にはユダヤ人のようになりました。ユダヤ人を獲得するためです。律法の下にある人たちには、律法の下にある者のようになりました。律法を持たない人たちには、律法を持たない者のようになりました。弱い人たちには、弱い者になりました。すべての人に、すべてのものとなりました。何とかして、何人かでも救うためです。』と。
このことこそが、テモテに割礼を授けたことへの真意なのです。さて、パウロとシラスとテモテは、町々を巡り、エルサレムの使徒たちと長老たちが決めた規定を、守るべきものとして、異邦人の兄弟姉妹に伝えました。こうして第一回伝道旅行の時に建てられた諸教会は、信仰を強められ、人数も日ごとに増えて行ったのです。》