◇◆◇2023年3月26日 第四主日礼拝メッセージ
◎本日の聖書箇所【ヨハネの福音書11章1節~45節】(新約聖書p.204上段左側)
11:1 さて、ある人が病気にかかっていた。ベタニアのラザロである。ベタニアはマリアとその姉妹マルタの村であった。
11:2 このマリアは、主に香油を塗り、自分の髪で主の足をぬぐったマリアで、彼女の兄弟ラザロが病んでいたのである。
11:3 姉妹たちは、イエスのところに使いを送って言った。「主よ、ご覧ください。あなたが愛しておられる者が病気です。」
11:4 これを聞いて、イエスは言われた。「この病気は死で終わるものではなく、神の栄光のためのものです。それによって神の子が栄光を受けることになります。」
11:5 イエスはマルタとその姉妹とラザロを愛しておられた。
11:6 しかし、イエスはラザロが病んでいると聞いてからも、そのときいた場所に二日とどまられた。
11:7 それからイエスは、「もう一度ユダヤに行こう」と弟子たちに言われた。
11:8 弟子たちはイエスに言った。「先生。ついこの間ユダヤ人たちがあなたを石打ちにしようとしたのに、またそこにおいでになるのですか。」
11:9 イエスは答えられた。「昼間は十二時間あるではありませんか。だれでも昼間歩けば、つまずくことはありません。この世の光を見ているからです。
11:10 しかし、夜歩けばつまずきます。その人のうちに光がないからです。」
11:11 イエスはこのように話し、それから弟子たちに言われた。「私たちの友ラザロは眠ってしまいました。私は彼を起こしに行きます。」
11:12 弟子たちはイエスに言った。「主よ。眠っているのなら、助かるでしょう。」
11:13 イエスは、ラザロの死のことを言われたのだが、彼らは睡眠の意味での眠りを言われたものと思ったのである。
11:14 そこで、イエスは弟子たちに、今度ははっきりと言われた。「ラザロは死にました。
11:15 あなたがたのため、あなたがたが信じるためには、私がその場に居合わせなかったことを喜んでいます。さあ、彼のところへ行きましょう。」
11:16 そこで、デドモと呼ばれるトマスが仲間の弟子たちに言った。「私たちも行って、主と一緒に死のうではないか。」
11:17 イエスがおいでになると、ラザロは墓の中に入れられて、すでに四日たっていた。
11:18 ベタニアはエルサレムに近く、十五スタディオンほど離れたところにあった。
11:19 マルタとマリアのところには、兄弟のことで慰めようと、大勢のユダヤ人が来ていた。
11:20 マルタは、イエスが来られたと聞いて、出迎えに行った。マリアは家で座っていた。
11:21 マルタはイエスに言った。「主よ。もしここにいてくださったなら、私の兄弟は死ななかったでしょうに。
11:22 しかし、あなたが神にお求めになることは何でも、神があなたにお与えになることを、私は今でも知っています。」
11:23 イエスは彼女に言われた。「あなたの兄弟はよみがえります。」
11:24 マルタはイエスに言った。「終わりの日のよみがえりの時に、私の兄弟がよみがえることは知っています。」
11:25 イエスは彼女に言われた。「私はよみがえりです。いのちです。私を信じる者は死んでも生きるのです。
11:26 また、生きていて私を信じる者はみな、永遠に決して死ぬことがありません。あなたは、このことを信じますか。」
11:27 彼女はイエスに言った。「はい、主よ。私は、あなたが世に来られる神の子キリストであると信じております。」
11:28 マルタはこう言ってから、帰って行って姉妹のマリアを呼び、そっと伝えた。「先生がお見えになり、あなたを呼んでおられます。」
11:29 マリアはそれを聞くと、すぐに立ち上がって、イエスのところに行った。
11:30 イエスはまだ村に入らず、マルタが出迎えた場所におられた。
11:31 マリアとともに家にいて、彼女を慰めていたユダヤ人たちは、マリアが急いで立ち上がって出て行くのを見て、墓に泣きに行くのだろうと思い、ついて行った。
11:32 マリアはイエスがおられるところに来た。そしてイエスを見ると、足もとにひれ伏して言った。「主よ。もしここにいてくださったなら、私の兄弟は死ななかったでしょうに。」
11:33 イエスは、彼女が泣き、一緒に来たユダヤ人たちも泣いているのをご覧になった。そして、霊に憤りを覚え、心を騒がせて、
11:34 「彼をどこに置きましたか」と言われた。彼らはイエスに「主よ、来てご覧ください」と言った。
11:35 イエスは涙を流された。
11:36 ユダヤ人たちは言った。「ご覧なさい。どんなにラザロを愛しておられたことか。」
11:37 しかし、彼らのうちのある者たちは、「見えない人の目を開けたこの方も、ラザロが死なないようにすることはできなかったのか」と言った。
11:38 イエスは再び心のうちに憤りを覚えながら、墓に来られた。墓は洞穴で、石が置かれてふさがれていた。
11:39 イエスは言われた。「その石を取りのけなさい。」死んだラザロの姉妹マルタは言った。「主よ、もう臭くなっています。四日になりますから。」
11:40 イエスは彼女に言われた。「信じるなら神の栄光を見る、とあなたに言ったではありませんか。」
11:41 そこで、彼らは石を取りのけた。イエスは目を上げて言われた。「父よ、私の願いを聞いてくださったことを感謝します。
11:42 あなたはいつでも私の願いを聞いてくださると、私は知っておりましたが、周りにいる人たちのために、こう申し上げました。あなたが私を遣わされたことを、彼らが信じるようになるために。」
11:43 そう言ってから、イエスは大声で叫ばれた。「ラザロよ、出て来なさい。」
11:44 すると、死んでいた人が、手と足を長い布で巻かれたまま出て来た。彼の顔は布で包まれていた。イエスは彼らに言われた。「ほどいてやって、帰らせなさい。」
11:45 マリアの所に来ていて、イエスがなさったことを見たユダヤ人の多くが、イエスを信じた。
◎メッセージ【ラザロのよみがえり】
《来週は、シュロの日曜日、そして、さ来週4月9日がイースター礼拝となります。今回は、あえて主イエス様が、過越の祭の前に行なわれた、ヨハネにおける七つのしるしの最後の奇跡である「ラザロのよみがえり」について、もう一度共に、考えて見たいと思います。
主イエス様は、公生涯を始める前から、ベタニアのマルタとマリア姉妹、そして弟ラザロとは親しい間柄であったことが、ローマの一世紀の公文書には書かれています。
と言うことは、主イエス様は、何度もエルサレムに来られ、そしてベタニアを訪ねていたことが分かります。公文書では、マルタとマリアの二人の姉妹が女性として、青年男性のイエス様を慕っていたことが描かれています。最も、主イエス様は、この姉妹とは距離を置かれ、しかし、弟ラザロとは、本当に親しい友として愛しておられたのです。
主イエス様は公生涯において、弟子たちに三度にもおよぶ「受難予告」をされました。第三回目における受難予告において、主は「十字架」を示されることになります。また、三回とも最後には、「三日目によみがえら」れることを明確に言われています。弟子たちには、何のことなのかさっぱり理解出来ませんでした。
その為に、主イエス様はラザロの奇跡を行なわれたのです。ラザロが病気になり死んでしまったことも、実はすべてが神様の摂理の中における出来事であって、主が栄光を受けられる為でもあったのです。
主は、マルタから使いの者が来てから、あえてその場所に二日とどまります。その場所からベテニアまで移動するには、少なくとも二日はかかったようです。ベタニアに主一行が到着しますとマルタが迎えに出ます。
「主よ。もしここにいてくださったなら、私の兄弟は死ななかったでしょうに。」
マルタそして十二弟子たちも、主イエス様がラザロをよみがえらせることは出来ないと考えていたことが分かります。なぜなら、以前よみがえったヤイロの娘は死んだ直後でしたし、やもめの一人息子は、死んでから数時間しか経っていなかったからです。しかし、今回は違います。埋葬されてから四日が経過しています。すでにラザロの体は腐り、ウジが湧いていたことでしょう。
ここから、場面は移動し、一行はラザロが葬られた洞窟の墓に向かいます。
「その石を取りのけなさい。」
「主よ、もう臭くなっています。四日になりますから。」
「信じるなら神の栄光を見る、とあなたに言ったではありませんか。父よ、私の願いを聞いてくださったことを感謝します。あなたはいつでも私の願いを聞いてくださると、私は知っておりましたが、周りにいる人たちのために、こう申し上げました。あなたが私を遣わされたことを、彼らが信じるようになるために。ラザロよ、出て来なさい。」
すると、死んでいた人が、手と足を長い布で巻かれたまま出て来たのです。ラザロはよみがえりました。
しかし、彼は生き返ったのであって、再び死ぬことになります。主イエス様もよみがえられました。しかし、ラザロとは違い、栄光の体でよみがえられたのです。
この「ラザロの奇跡」は、主が、十字架から三日目によみがえることを弟子たちに信じさせる為のひな形でもありました。しかし、弟子たちが十分に理解する為には、復活の主にお会いしなければならなかったのです。》