• 日々のみ言葉 2016年2月6日(土)

    ◇◆◇日々のみ言葉

    2016年2月6日(土)

    ◎聖書箇所 【マルコの福音書10章38節~39節】

    10:38 しかし、イエスは彼らに言われた。「あなたがたは自分が何を求めているのか、わかっていないのです。あなたがたは、わたしの飲もうとする杯を飲み、わたしの受けようとするバプテスマを受けることができますか。」
    10:39 彼らは「できます。」と言った。イエスは言われた。「なるほどあなたがたは、わたしの飲む杯を飲み、わたしの受けるべきバプテスマを受けはします。」

    ◎ショートメッセージ

    《この記事は、マタイとマルコの福音書に掲載されています。
     
     二つの福音書を統合しますと、

     ゼベダイの子たちの母が、子どもたちと一緒にイエスのもとに来て、ひれ伏して、「先生。私たちの頼み事をかなえていただきたいと思います。」と言ったのです。

     そのとき、主イエス様が彼女に、「どんな願いですか。何をしてほしいのですか」と言われると、彼女は言いました。
     「私のこのふたりの息子が、あなたの御国で、ひとりはあなたの右に、ひとりは左にすわれるようにおことばを下さい。」

     そして、主イエス様がお答えになられた場面が、本日の聖書箇所となります。

     マタイによれば、

    『けれども、イエスは答えて言われた。「あなたがたは自分が何を求めているのか、わかっていないのです。わたしが飲もうとしている杯を飲むことができますか。」彼らは「できます。」と言った。イエスは言われた。「あなたがたはわたしの杯を飲みはします。」(マタイの福音書20:22~20:23前半)』、となっています。

     マルコの福音書では、主イエス様は、「杯とバプテスマ」と言われたことを書き記していますが、マタイの福音書では、ただ単に「杯」となっています。

     主イエス様の質問に対して、ヤコブとヨハネは、「できます。」と答えました。
     それに対して、主イエス様は、マルコによれば、「なるほどあなたがたは、わたしの飲む杯を飲み、わたしの受けるべきバプテスマを受けはします。」と答えられたのです。 また、マタイによれば、「あなたがたはわたしの杯を飲みはします。」と答えられたと書き記されています。

     どちらであったとしても、主イエス様のこの答えは、まさしく預言であるのです。

     主イエス様の言われた杯は「苦難の杯」であり、また「苦難のバプテスマ」を指し、具体的には「十字架の死」を意味します。

     ヤコブにとっては、十二使徒の中において最初の殉教者となることを意味しました。また、ヨハネに取っては、ペテロと投獄されたり、ムチ打たれたり、そして晩年にはパトモス島に流され、生きながらにして殉教の死にも等しい日々を送ったことを意味しました。
     聖書には書かれてはいませんが、ヨハネだけが最後の十二使徒の生き残りとして、二世紀まで生きながらえます。それは、裏を返せば、自分以外の多くの使徒たちや弟子たちの殉教の死を見守る役目を、主イエス様から委ねられたのではないのでしょうか。それこそが、ヨハネの「杯」であったかも知れないのです。

     ヨハネは間違いなく、ローマ軍による紀元70年のエルサレム陥落を知っています。また悪名高きローマ皇帝ネロによるクリスチャンの迫害をも知っています。シモン・ペテロもパウロも、ネロによって殺されるのです。
     かつて主イエス様と共に、使徒として「過越の祭り」を祝うために、四回もエルサレムに上った思い出や、そこで経験した多くの奇蹟が行なわれた場所は、もう存在しないのです。それゆえ、神様は、あえてヨハネを証人として、主イエス様がなされたことを伝えるために、長寿を全うさせたのではないのでしょうか。

     かつての同僚だけではなく、主イエス様に出会い、弟子となったニコデモや、アリマタヤのヨセフ、パウロやバルナバ、その従兄弟であったヨハネ・マルコ、そして医者ルカ。そればかりではなく、主イエス様がよみがえられたラザロさえも、みんな殉教し、もしくは召されて行き、ただ一人ヨハネだけが残されるのです。まさに独りぼっちです。
     そして第四福音書と三つの手紙と、「黙示録」を執筆したのです。晩年ヨハネは、エペソ教会を中心とし、長老として多くの若い弟子たちを育てて行きます。
     やがて二世紀が訪れます。ついに主イエス様が、パトモス島に流された使徒ヨハネを迎える時がやって来ます。
     その時、主イエス様を直接知っていた最後の使徒ヨハネは、一体、どんなことを主に申し上げたのでしょうか。

     もし私がヨハネでしたら、きっと「主よ。もう待ちくたびれました。あなたの杯は、長かったです。今、ようやく飲み干すことが出来ました。」と言うと思います。》

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