◇◆◇日々のみ言葉
2016年6月29日(水)
◎聖書箇所 【マルコの福音書15章8節~10節】
15:8 それで、群衆は進んで行って、いつものようにしてもらうことを、ピラトに要求し始めた。
15:9 そこでピラトは、彼らに答えて、「このユダヤ人の王を釈放してくれというのか。」と言った。
15:10 ピラトは、祭司長たちが、ねたみからイエスを引き渡したことに、気づいていたからである。
◎ショートメッセージ
《イエス様に対する裁判は、ユダヤ指導者たちにおける宗教的裁判が三回、そして政治的裁判(世俗的裁判)が三回、合計六回の裁判が行なわれました。
その最後の裁判が、ローマ総督ポンテオ・ピラトによる第二回目の法廷であり、おそらくピラトが「過越の祭」の時に滞在していた「アントニヤ要塞」のある広場で行なわれたと思われます。
この裁判こそ、人殺しのバラバか、それとも「ユダヤ人の王」と言われたイエス様か、どちらを釈放するのかが争われたのです。しかも極悪犯罪人か、無実のイエス様か。
マタイは、その福音書に不思議なことを書き記しています。
マタイによれば、
『ピラトが裁判の席に着いていたとき、彼の妻が彼のもとに人をやって言わせた。「あの正しい人にはかかわり合わないでください。ゆうべ、私は夢で、あの人のことで苦しいめに会いましたから。」(マタイの福音書27:19)』と、書かれています。しかも、これはマタイの福音書にしか書かれていません。
私は疑問に思うのです。いったいマタイは、誰からこのことを聞いたのでしょうか。一つは、直接ピラトの妻からか、あるいは妻がピラトに送った使いの者なのか、非常に考えてしまいます。伝承では、ピラトの妻はクラウディア・プロクラと言う女性で、妻が送った女召使が、プラクセディスだと言われています。
ピラトの妻クラウディアが夢で見たことは、間違いなく神様のなせる業です。神様が天使ガブリエルを遣わされて、ピラトの妻に夢を通して警告したのです。ここにも、神様の愛が感じられるではありませんか。
クラウディアが、実際にどのような夢を見たのかは、分かりません。しかし「苦しいめに会いました」と伝えていることから、相当な悪夢であったことは間違いありません。 しかも「あの正しい人」と言っていることから、神様がご介入されたしるしであることは明白です。この言葉にクラウディアが、夫が誰を裁いているのか、知っていたことも分かります。
もしかしたらクラウディアは、イエス様の話を直接聞いているのかも知れません。もちろん身分を隠して、あるいはこっそりとだと思いますが。さらに、もしかしたら、イエス様を信じていたとも推測できないでしょうか。
残念ながら、神様がご介入されたにもかかわらず、ピラトは、妻の忠告を聞きませんでした。
世の夫たる者の中には、多くの者が妻の忠告に耳を傾けようとしない事実が、ここでも証明されています。もしピラトが、妻クラウディアの忠告に耳を傾けていたとしたら、もっと違う結末があったかも知れないのです。
「使徒信条」に、その名前を刻まれるのではなく、もしかしたら主イエス様の「いのちの書」に名前が記されたのかも知れません。その可能性は無かったなどと、どうして言えるのでしょうか。そうでなければ、神様はあえてご介入などされないのです。
伝承では、やがてピラトは罷免され失踪し、寂しい地にて自殺したと言われています。》