◇◆◇日々のみ言葉
2016年7月4日(月)
◎聖書箇所 【マルコの福音書15章16節】
15:16 兵士たちはイエスを、邸宅、すなわち総督官邸の中に連れて行き、全部隊を呼び集めた。
◎ショートメッセージ
《『ところが、彼らはあくまで主張し続け、十字架につけるよう大声で要求した。そしてついにその声が勝った。ピラトは、彼らの要求どおりにすることを宣告した。すなわち、暴動と人殺しのかどで牢にはいっていた男を願いどおりに釈放し、イエスを彼らに引き渡して好きなようにさせた。(ルカの福音書23:13~23:25)』
ローマ兵たちは、主イエス様を、ポンテオ・ピラトの総督官邸の中に連れて行きました。どうやら、そこに牢屋があったようです。兵士たちは、「全部隊を呼び集めた」、となっていますが、これはもちろんピラトの命令であったと思われます。
この時の群衆は、すでに暴徒化していたと思われます。それでなくとも、ユダヤ人の最大の祭りである「過越の祭」には、当時の世界の隅々から、散らされていたユダヤ人が、何十万人も聖都エルサレムを目指して集まって来るのです。
今で言えば、リオデジャネイロの「カーニバル」のようなものです。それだけ多くの人々が集まって来たとしたら、やはり問題や事件が起こるものです。ましてや、ローマ帝国に対して積年のうらみを抱いているユダヤ人たちは、ここぞとばかり、一致団結し、反乱を起こす可能性がいつもあったのです。
事実、やがて熱心党シモン(十二使徒とは別人)による反乱が起きることになり、紀元70年、ついにエルサレムが、ローマ皇帝ティトスによって陥落し、主イエス様の預言通りに、積まれた石がすべて崩されることになるのです。
つい一週間前までは、ユダヤの人々は、主イエス様の奇蹟としるしに驚嘆し、絶大の賞賛を送っていたにもかかわらず、ローマ帝国反逆罪として、これから十字架にかかる為に、ゴルゴダの丘に行こうとするイエス様に対して、呪いとさげすみの言葉を投げかけることになろうとは、一体誰が想像できたでしょうか。
たった数日の僅かな時間で、こうまで群衆の心が正反対に傾いてしまうとは、まさに人間の罪とは恐ろしいものであることを、再度教えてはいないでしょうか。
この時、総督ピラトを始め、千人隊長や一隊のローマ兵士たちは、実際に暴動の恐怖を感じていたことが、学者の間では言われています。それゆえ、全部隊を呼び集めたのです。
最高の軍事訓練を受けたローマ兵であっても、何十万人対千人では、勝負になりません。全滅することは目に見えています。しかし彼らは逃げ出したくても、逃げられないのです。もし逃亡すれば、今度は味方から処刑されることになってしまいます。
いよいよ、これからヴィア・ドロローサ(悲しみの道)を、イエス様は、自分の十字架を背負い、ゴルゴタ(しゃれこうべ)の丘に向けて、登って行かれることになります。すべての人の罪を背負いながら。》