◎本日の聖書箇所【使徒の働き9章1節~9節】
9:1さて、サウロはなおも主の弟子たちを脅かして殺害しようと息巻き、大祭司のところに行って、
9:2 ダマスコの諸会堂宛ての手紙を求めた。それは、この道の者であれば男でも女でも見つけ出し、縛り上げてエルサレムに引いて来るためであった。
9:3 ところが、サウロが道を進んでダマスコの近くまで来たとき、突然、天からの光が彼の周りを照らした。
9:4 彼は地に倒れて、自分に語りかける声を聞いた。「サウロ、サウロ、なぜ私を迫害するのか。」
9:5 彼が「主よ、あなたはどなたですか」と言う
と、答えがあった。「私は、あなたが迫害しているイエスである。
9:6 立ち上がって、町に入りなさい。そうすれば、あなたがしなければならないことが告げられる。」
9:7 同行していた人たちは、声は聞こえてもだれも見えないので、ものも言えずに立っていた。
9:8 サウロは地面から立ち上がった。しかし、 目を開けていたものの、何も見えなかった。それで人々は彼の手を引いて、ダマスコに連れて行った。
9:9 彼は三日間、目が見えず、食べることも飲むこともしなかった。
◎メッセージ【ダマスコ途上にて】
《今日は、劇的なサウロの改心の場面からです。迫害者サウロは、エルサレム市内にある教会を次々に潰して行きました。その為、十二使徒以外の信徒たちは、ユダヤやサマリア地方へ散らされて行ったのです。またペンテコステの時に救われたディアスポラのユダヤ人たちは、それぞれ自分の国に戻って行ったのです。そんな時のことです。サウロは、何故か「ダマスコ」に、ナザレのイエスの名を信じる者たちが多く潜んでいることを耳にしたのです。 この時には、サウロは知りませんでしたが、アナニアと言う指導者がダマスコの群れをまとめていたのです。
ダマスコとは、シリヤ地方の中心地で、ヘルモン山の東方、アマナ川とパルパル川の流域にあります。エルサレムからダマスコまでは、距離にして約240キロほどあります。ローマ帝国の道がつながってましたが、サウロは馬に乗っていたとしても、兵士たちは徒歩ですので、やはり数日は要したはずです。ダマスコまで、あと少しと言う所まで来た時、突然、天からの光が彼の周りを照らします。時刻は、昼を回った頃だと伝えられています。
「サウロ、サウロ、なぜ私を迫害するのか。」
「主よ、あなたはどなたですか」
「私は、あなたが迫害しているイエスである。立ち上がって、町に入りなさい。そうすれば、あなたがしなければならないことが告げられる。」
この時、サウロに同行していた兵士たちは、その声を聞いたと有りますが、彼らは主の姿を見ませんでした。しかしサウロは間違いなく、この時、復活の主イエスを見たのです。
ところで、なぜダマスコなのでしょうか。ステパノの殉教直後、エルサレムの教会に対する激しい迫害が起こった時、アナニアを始めダマスコから来ていた信者も故郷に戻ったと思われます。
後にサウロは、最高議会においてアナニアのことを、『律法に従う敬虔な人で、そこに住んでいるすべてのユダヤ人たちに評判の良い人』と証しています。このアナニアの存在こそが、ダマスコが舞台となった最大の要因ではないでしょうか。
目が見えなくなったサウロは、兵士たちによって、ダマスコのユダヤ人の会堂まで手を引かれ連れて行かれました。そこでサウロは、三日間断食しながら祈るのです。この三日間こそが、主イエスが十字架にかかられ、よみがえられるまでの同じ日数なのです。そして三日目に、アナニアによって迫害者サウロから、異邦人の使徒パウロが誕生します。》