• 2023年5月21日礼拝メッセージの概要

    ◎本日の聖書箇所【使徒の働き26章1節~23節】(新約聖書p.289上段左側)
    26:1 アグリッパはパウロに向かって、「自分のことを話してよろしい」と言った。そこでパウロは、手を差し出して弁明し始めた。
    26:2 「アグリッパ王よ。私がユダヤ人たちに訴えられているすべてのことについて、今日、王様の前で弁明できることを幸いに思います。
    26:3 特に、王様はユダヤ人の慣習や問題に精通しておられます。ですから、どうか忍耐をもって、私の申し上げることをお聞きくださるよう、お願いいたします。
    26:4 さて、初めから同胞の間で、またエルサレムで過ごしてきた、私の若いころからの生き方は、すべてのユダヤ人が知っています。
    26:5 彼らは以前から私を知っているので、証言しようと思えばできますが、私は、私たちの宗教の中で最も厳格な派にしたがって、パリサイ人として生活してきました。
    26:6 そして今、神が私たちの父祖たちに与えられた約束に望みを抱いているために、私はここに立って、さばかれているのです。
    26:7 私たちの十二部族は、夜も昼も熱心に神に仕えながら、その約束のものを得たいと望んでいます。王よ。私はこの望みを抱いているために、ユダヤ人から訴えられているのです。
    26:8 神が死者をよみがえらせるということを、あなたがたは、なぜ信じがたいこととお考えになるのでしょうか。
    26:9 実は私自身も、ナザレ人イエスの名に対して、徹底して反対すべきであると考えていました。
    26:10 そして、それをエルサレムで実行しました。祭司長たちから権限を受けた私は、多くの聖徒たちを牢に閉じ込め、彼らが殺されるときには賛成の票を投じました。
    26:11 そして、すべての会堂で、何度も彼らに罰を科し、御名を汚すことばを無理やり言わせ、彼らに対する激しい怒りに燃えて、ついには国外の町々にまで彼らを迫害して行きました。
    26:12 このような次第で、私は祭司長たちから権限と委任を受けてダマスコへ向かいましたが、
    26:13 その途中のこと、王様、真昼に私は天からの光を見ました。それは太陽よりも明るく輝いて、私と私に同行していた者たちの周りを照らしました。
    26:14 私たちはみな地に倒れましたが、そのとき私は、ヘブル語で自分に語りかける声を聞きました。『サウロ、サウロ、なぜ私を迫害するのか。とげの付いた棒を蹴るのは、あなたには痛い。』
    26:15 私が『主よ、あなたはどなたですか』と言うと、主はこう言われました。『私は、あなたが迫害しているイエスである。
    26:16 起き上がって自分の足で立ちなさい。私があなたに現れたのは、あなたが私を見たことや、私があなたに示そうとしていることについて、あなたを奉仕者、また証人に任命するためである。
    26:17 私は、あなたをこの民と異邦人の中から救い出し、彼らのところに遣わす。
    26:18 それは彼らの目を開いて、闇から光に、サタンの支配から神に立ち返らせ、こうして私を信じる信仰によって、彼らが罪の赦しを得て、聖なるものとされた人々とともに相続にあずかるためである。』
    26:19 こういうわけで、アグリッパ王よ、私は天からの幻に背かず、
    26:20 ダマスコにいる人々をはじめエルサレムにいる人々に、またユダヤ地方全体に、さらに異邦人にまで、悔い改めて神に立ち返り、悔い改めにふさわしい行いをするようにと宣べ伝えてきました。
    26:21 そのために、ユダヤ人たちは私を宮の中で捕らえ、殺そうとしたのです。
    26:22 このようにして、私は今日に至るまで神の助けを受けながら、堅く立って、小さい者にも大きい者にも証しをしています。そして、話してきたことは、預言者たちやモーセが後に起こるはずだと語ったことにほかなりません。
    26:23 すなわち、キリストが苦しみを受けること、また、死者の中から最初に復活し、この民にも異邦人にも光を宣べ伝えることになると話したのです。」

    ◎メッセージ【パウロの三回目の弁明】
    《新ローマ総督フェストゥスは、ユダヤの王アグリッパ2世にパウロの件について相談したのです。それゆえ次の日、謁見室において、パウロ本人からの弁明を聞いてもらうことになったのです。
     実は、ダマスコの改心の奇跡の時に、パウロの目を開ける為に遣わされたアナニアに主イエス様が与えられた預言がありました。
    「行きなさい。あの人は私の名を、異邦人、王たち、イスラエルの子らの前に運ぶ、私の選びの器です。」と。
     まず第一回目の成就は、「イスラエルの子ら」に対してでした。それは、エルサレムの大祭司や祭司たち、パリサイ人や律法学者たちを前にして、パウロはヘブル語で語ったのです。
    「兄弟ならびに父である皆さん。今から申し上げる私の弁明を聞いてください。」
     そして、第二回目の成就は「異邦人の長」に対してです。パウロ暗殺の計画が持ち上がった為、エルサレムからカイサリアに護送され、総督フェリクスの前に立った時に成就します。
    「閣下が長年、この民の裁判をつかさどってこられたことを存じておりますので、喜んで私自身のことを弁明いたします。」と。
     そして、今回の聖書箇所の三回目の弁明こそ、「王たち」に対して成就することになります。しかしこの語は単数形ではなく複数形となっています。つまり、ユダヤ人の王アグリッパ2世に対して成就し、やがてローマに護送され、皇帝ネロの前において弁明することによって、成就することになります。
     さて、順を追ってパウロの弁明を見て行くことにしましょう。パウロはすでにカイザルに告訴しましたから、まずこれは裁判の席ではないことに注意しなくてはなりません。
     まず敬意を持ったあいさつが語られます。続いてパウロが訴えられた理由が述べられます。ついで、回心する前のパウロの教会迫害の様子が描かれ、さらに、ダマスコ途上の天からの啓示による回心が語られ、その啓示とおりに主の働きを成したこと、そして逮捕された次第が述べられ、そして最後にパウロが述べ伝えているその内容について語られています。
     特に、パウロが訴えられている一番の理由は、罪人として十字架刑によって処刑されたナザレのイエスがよみがえったことを宣べ伝えていることなのです。
     パリサイ人や律法学者たちは、確かに復活を信じていました。しかし、彼らの復活についての認識は、聖なる者、すなわち義人のみが復活すると信じてきたことにあります。また、彼らのメシア観は、処刑された罪人ではなく、政治的メシアであって、ローマ帝国からイスラエル解放してくれる勝利者なるメシアにあったのです。敗北者ではないのです。
     しかし、パウロは弁明の最後に明確に宣べ伝えます。「キリストが苦しみを受けること、また、死者の中から最初に復活」したことをです。
    『キリストが死んでよみがえられたのは、死んだ人にも生きている人にも、主となる為です。』
     パウロは全身全霊を込めて、アグリッパ2世とベルニケに、そしてローマ総督フェストゥスおよび、出席していたローマ人たちに、伝道メッセージを語りました。そして、間違いなく、パウロのメッセージを通して、聖霊は彼らに働かれたのです。》

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