◇◆◇日々のみ言葉
2016年6月7日(火)
◎聖書箇所 【マルコの福音書14章47節】
14:47 そのとき、イエスのそばに立っていたひとりが、剣を抜いて大祭司のしもべに撃ちかかり、その耳を切り落とした。
◎ショートメッセージ
《昨日と同じ場面について考えて見たいと思います。この場面はすべての福音書に記載されています。と言うことは、とても大切なことを教えていることになります。
マルコは、簡潔に書き記しています。しかもたった1節だけです。
マタイは、その場所にじかに出くわした者として、イエス様の言葉を書き留めました。
そしてさらに、後に順を追って詳細にわたって調べたルカは、このように書き記しています。今日は、マルコとルカの福音書から、考えて見ることにしましょう。
ルカによりますと、
『イエスの回りにいた者たちは、事の成り行きを見て、「主よ。剣で打ちましょうか。」と言った。そしてそのうちのある者が、大祭司のしもべに撃ってかかり、その右の耳を切り落とした。
するとイエスは、「やめなさい。それまで。」と言われた。そして、耳にさわって彼を直してやられた。(ルカの福音書22:49~22:51)』と、書かれています。
ここでも「そしてそのうちのある者」となっていて、これが誰であるのかは書かれてはいません。と言うことは、マタイ、マルコ、ルカにおける三つの共観福音書では、大祭司のしもべのひとりに、剣を抜いて撃ちかかったのが誰であるのか、分からないのです。
さてマルコとマタイの福音書には、書かれていないことをルカは書いています。
それは、イエス様が、「やめなさい。それまで。」と言われたことです。イエス様は、その弟子にそれ以上、人々に危害を加えないように、彼を制止されたのです。
もしイエス様が止めなければどうなっていたでしょうか。どうやら他にも剣を持っていた弟子がいたことは明らかなのです。なぜなら、ルカの福音書によりますと、
『そこでイエスは言われた。「しかし、今は、財布のある者は財布を持ち、同じく袋を持ち、剣のない者は着物を売って剣を買いなさい。あなたがたに言いますが、『彼は罪人たちの中に数えられた。』と書いてあるこのことが、私に必ず実現するのです。私にかかわることは実現します。」
彼らは言った。「主よ。このとおり、ここに剣が二振りあります。」イエスは彼らに、「それで十分。」と言われた。(ルカの福音書22:36~22:38)』と、書かれているのです。
おそらく、最初の弟子に続いて、もうひとり剣を持っていた弟子も剣を抜き、主を守ろうとして、人々に撃ちかかって行ったはずです。
そこには誰がいましたか。
そこには、ローマ軍の千人隊長と六百人からなる一隊のローマ兵もいたのです。彼らは漁師ではありません。彼らは、人を殺すプロなのです。もしローマ兵に刃向かって行ったとしたら、瞬く間に、弟子たち全員が殺されていたことでしょう。
それゆえ、イエス様は、神の御子としての権威を持って、「やめなさい。それまで」と宣言されたのです。すると、その瞬間に、殺戮した場面が一瞬に硬着しました。
そこに居合わせたすべての人が、身動きすることを止め、その人たちの目は、主イエス様に向けて釘付けとなったのです。
そして、その後にイエス様は、彼らの見ている前で、耳を切り落とされた大祭司のしもべの耳にさわられ、彼を直されたのです。
イエス様のなされた行為には、二つの意味があります。
一つは、剣を抜いて撃ちかかった弟子の身を守るため、そしてもう一つは、痛い思いをした大祭司のしもべが、主ご自身と出会い、救われるためでした。
明日は、マタイ、マルコそしてルカの福音書を知り、おそらくその写しを手元に持っていたと思われる、最後の生き残りの使徒ヨハネが、その福音書に書き加えた記事の内容から、考えて見たいと思います。》