◇◆◇日々のみ言葉
2020年5月25日(月)
◎聖書箇所【使徒の働き27章7節~10節】
27:7 幾日かの間、船の進みはおそく、ようやくのことでクニドの沖に着いたが、風のためにそれ以上進むことができず、サルモネ沖のクレテの島陰を航行し、
27:8 その岸に沿って進みながら、ようやく、良い港と呼ばれる所に着いた。その近くにラサヤの町があった。
27:9 かなりの日数が経過しており、断食の季節もすでに過ぎていたため、もう航海は危険であったので、パウロは人々に注意して、
27:10「皆さん。この航海では、きっと、積荷や船体だけではなく、私たちの生命にも、危害と大きな損失が及ぶと、私は考えます。」と言った。
◎ショートメッセージ
《パウロ一行を乗せたアドラミテオの船は、向かい風の中、キプロスの島陰を航行し、キリキヤとパンフリヤの沖を通って、ルキヤのミラの港であるアンドリアカ港に入港しました。
ちょうどそこに、イタリヤへ行くアレキサンドリヤの船があったので、百人隊長ユリアスは、部下と囚人たちに船を乗り換えることを命じました。
もうそろそろ地中海では、風が強く吹き始める季節になっていました。当時の船は、簡易な帆船と奴隷に櫂を漕がせるガレー船の二つの種類がありました。一般の船は帆船ですが、まだ技術的には未熟な造りであって、向かい風では進むことが出来なかったのです。しかし、中世ヨーロッパの「大航海時代」の帆船は、向かい風であろうと、風が少しでも吹けば進む事が出来たのです。
さて、パウロ一行が乗り換えた船は、向かい風の中を幾日もの間ゆっくり進み、ついには、強い風に阻まれて進むことが出来なくなってしまいました。しかし、クレテ島の島陰を利用して風を避け、岸に沿って進み、ようやく良い港と呼ばれる所に着きました。そこはラサヤの町の近くでした。
ラサヤとは、クレテ島の南海岸にあった町のことです。ところで、「良い港」ですが、正式名が分かりません。もしかしたら、これは翻訳上の間違いであって、その港の名前が「良い港」ではなかったのではないでしょうか。
考古学者G・ブラウンが、1856年に「良い港」の東約8キロにあるレオナ岬、その岬の北東約2キロの地点にあった廃墟が、ラサヤであることを発見しています。
「かなりの日数が経過し」とは、カイザリヤを出航してから数えての事だと思われます。
また、ここで「断食の季節も過ぎた」とは、ユダヤ暦では「第七月の十日」には断食をすることが律法によって定められていました。これは現在の太陽暦では、十月に相当します。
地中海では秋から偏西風が西風に変わり、強くなる為、十一月十一日から三月五日までは、航海は禁止されていました。
よって、すでに十一月に入っていたことは間違いありません。パウロは、何度も破船を経験していますから、このように訴えたのです。
「皆さん。この航海では、きっと、積荷や船体だけではなく、私たちの生命にも、危害と大きな損失が及ぶと、私は考えます。」
もちろん聖霊は、すでにパウロにその事を示されていたことは疑いのないことです。》