◇◆◇日々のみ言葉
2020年5月28日(木)
◎聖書箇所【使徒の働き27章14節~15節】
27:14 ところが、まもなくユーラクロンという暴風が陸から吹きおろして来て、
27:15 船はそれに巻き込まれ、風に逆らって進むことができないので、しかたなく吹き流されるままにした。
◎ショートメッセージ
《「良き港」に待機していたアレキサンドリヤの船は、おりから、穏やかな南風が吹いて来ますと、船長と航海士はこの時とばかり錨を上げて船出しました。そしてクレテの海岸に沿って、島の反対側にありますピニクスの港を目指したのです。
「良い港」から「ピニクスの港」までは、距離にして70キロですから、天候が持ちさえすれば、その日のうちには目的地に着くはずでした。
ところが、本当に突然、突風がやって来たのです。「ユーラクロン」です。
「ユーラクロン」とは、クレテ島のイダ山(標高1370メートル)から吹き降ろす激しい風のことです。
現在においても、レバントと呼ばれる東部地中海のこの付近を航行する船乗りたちがよく遭遇すると言われています。この暴風は、一行の乗っている船を、クレテ島から引き離し、南西の島クラウダにまで吹き流します。
この時、船長も航海士も、そして百人隊長も彼の部下の兵たちも、パウロの言った言葉を思い出したに違いありません。
「皆さん。この航海では、きっと、積荷や船体だけではなく、私たちの生命にも、危害と大きな損失が及ぶと、私は考えます。」
何度でも言いますが、これは単にパウロ自身の体験から来る注意勧告ではありません。聖霊による預言なのです。
まず「積荷」に被害がおよぶことになります。次に船本体に。そして最後は、乗船している者たち全員の命に。
この船は、小さな船ではありません。当時のローマ社会においては、かなり大型の部類に属する船だったのです。
使徒の働きには、こう書かれています。
『船にいた私たちは全部で二百七十六人であった。(使徒の働き27:37)』
これだけの人数が乗れるわけですから、その船の規模は自ずから分かると言うものです。おそらくそのうちの百人は、ローマ兵であったことはほぼ間違いありません。
さて、クレテ島の海岸に沿って航行していました船は、陸から海へと吹き下ろす風に巻き込まれてしまいました。よって、見る見るうちに陸から離され、沖の方へと吹き流されて行ったのです。まさに成す術もなく。でも、これはまだ始まりにしか過ぎなかったのです。》