• 2020年12月6日礼拝メッセージの概要

    ◎本日の聖書箇所【マタイの福音書1章18節~25節】
    1:18 イエス・キリストの誕生は次のようであった。母マリアはヨセフと婚約していたが、二人がまだ一緒にならないうちに、聖霊によって身ごもっていることが分かった。
    1:19 夫のヨセフは正しい人で、マリアをさらし者にしたくなかったので、ひそかに離縁しようと思った。
    1:20 彼がこのことを思い巡らしていたところ、見よ、主の使いが夢に現れて言った。「ダビデの子ヨセフよ、恐れずにマリアをあなたの妻として迎えなさい。その胎に宿っている子は聖霊によるのです。
    1:21 マリアは男の子を産みます。その名をイエスとつけなさい。この方がご自分の民をその罪からお救いになるのです。」
    1:22 このすべての出来事は、主が預言者を通して語られたことが成就するためであった。
    1:23 「見よ、処女が身ごもっている。そして男の子を産む。その名はインマヌエルと呼ばれる。」それは、訳すと「神が私たちとともにおられる」という意味である。
    1:24 ヨセフは眠りから覚めると主の使いが命じたとおりにし、自分の妻を迎え入れたが、
    1:25 子を産むまでは彼女を知ることはなかった。そして、その子の名をイエスとつけた。

    ◎メッセージ【ヨセフの決意】
    《11月29日から、待降節に入りました。「使徒の働き」は一時中止し、12月6日・13日・20日とクリスマス・メッセージとなります。今日は、「ヨセフの決意」です。
     マリヤは、この時13・14歳くらいであったと伝えられています。伝承では、ヨセフはマリヤよりもかなり年上であったようです。もうすでに一人前の大工として、働いていました。
     当時のイスラエルにおいては、結婚は両親同志が決めたのです。婚約は結婚と見なされ、一年間はそれぞれの両親のもとで暮らし、結婚について様々な教えを受け、お互いに見つめ合う期間が設けられていたのです。
     その期間の中、受胎告知が御使いによってマリアに知らされました。マリヤはその後すぐにエルサレム郊外の町エンカレムに住む従姉妹エリサベツとザカリヤのもとに向かいます。おそらく出発する前に、マリヤは婚約者ヨセフにその事実を伝えたと思われます。
     エンカレムから戻って来た時には、マリヤのお腹は大きく、誰の目にも妊娠は明らかであったからです。
     ヨセフは、年若い美しいマリヤを本当に愛していたのです。また伝承では、エルサレム神殿において祭司長からマリヤが特別に神から愛され、大きく用いられると言う預言が与えられたようです。
     さて、「ヨセフは正しい人」であったと書かれていますが、これは「律法」を重んじる者であったと言うことです。
     このケースにおいては、律法はこう命じています。
    『ある男と婚約中の処女の娘がいて、ほかの男が町で彼女を見かけて一緒に寝た場合、あなたがたはその二人をその町の門のところに連れ出し、石を投げて殺さなければならない。その女は町の中にいながら叫ばなかったからであり、その男は隣人の妻を辱めたからである。こうして、あなたがたの中からその悪い者を除き去りなさい。』と。
     そしてもう一つは、
    『人が妻をめとり夫となった後で、もし、妻に何か恥ずべきことを見つけたために気に入らなくなり、離縁状を書いてその女の手に渡し、彼女を家から去らせなければならない。』と。
     マリヤがエンカレムに行っている間、ヨセフは非常に悩み苦しんだに違いありません。そして出した結論は、去らせることでした。そんな時にヨセフは夢を見ます。
     モーセ五書において、預言的な夢を見た者の話は多く載っていますが、最も有名な話は、間違いなく、兄たちによってエジプトに売られたヨセフであることは、間違いありません。『さて、ヨセフは夢を見て、それを兄たちに告げた。
    「私が見たこの夢について聞いて下さい。見ると、私たちは畑で束を作っていました。すると突然、私の束が起き上がり、まっすぐに立ちました。そしてなんと、兄さんたちの束が周りに来て、私の束を伏し拝んだのです。」
    「おまえが私たちを治める王になるというのか。私たちを支配するというのか。」』
     マリヤの夫となり、また主イエスの育ての父になるヨセフが、そのヨセフと同じ名前であったことは、決して偶然ではないのです。ヨセフが「夢」を、ないがしろにしていないからこそ、御使いが夢を通してヨセフに語ったとも考えられます。御使いは夢の中で語ります。
    「ダビデの子ヨセフよ、恐れずにマリアをあなたの妻として迎えなさい。その胎に宿っている子は聖霊によるのです。マリアは男の子を産みます。その名をイエスとつけなさい。この方がご自分の民をその罪からお救いになるのです。」
     だからこそ、彼はマリヤを連れて、住民登録にベツレヘムに行くことになるのです。そして主イエスが生まれ、彼らはその名を御使いから聞いたとおりに「イエス」と名付けます。八日目が経ち、両親は幼子に割礼を授ける為にエルサレムの神殿に向かいます。これは、ヨセフがイエスを長子として認め、主なる神に聖別することを意味しています。出エジプト記には、「長子」について、このように命じられているからです。
    『主はモーセに告げられた。「イスラエルの子らの間で最初に胎を開く長子はみな、人であれ家畜であれ、私のために聖別せよ。それは、私のものである。」』と。
     つまりヨセフは、自分の身に覚えのない子であったとしても、夢で御使いから伝えられたことを信じ、イエスを長子として認め、育てて行くことを決意したのです。しかし、故郷ナザレの人々は、イエスのことを「マリヤの子」と呼んだのです。それはヨセフの実の子ではないことを、住民は知っていたことになります。
     ヨセフは決意しました。マリアを妻に向かい入れることを。
     ヨセフは決意しました。ベツレヘムに行って住民登録をすることを。
     ヨセフは決意しました。イエスが生まれてから八日目に長子として、神に捧げることを。
     ヨセフは決意しました。イエスを、自分の子として育てることを。
     ヨセフは決意しました。人々から嘲笑されることを。》

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